【緩和&在宅ケア】多治見市の生活応援活動について、父の病気について、そして思うこと。

緩和&在宅ケアへの取り組み

ステージ4の肺がんと宣告された父のために、安心・安全に実践できる「在宅ケア」について自ら考え、行動していくつもりです。等身大の真心をこめたセルフケアに関する情報シェアの場(セミナーやイベントなど)を開催しております。『サポート体制の流れ』を知り、上手に利用できるように。自分ひとりで抱え込まないことも大切です。地域全体で緩和&在宅ケアに対する意識が高まりますように。まずは自分から、そして愛する家族へ・・・


2023年8月7日『生活応援員育成講座』修了|多治見市役所 高齢福祉課・主催

Contents

  • 介護保険制度と生活支援活動の概要について
  • 緊急時の通報、救急対応、個人情報について
  • 高齢者の特性、心理、接遇について
  • 認知症について
  • すべてのマナーについて
  • 生活援助の意義と種類・演習


プロローグ

「高齢者(特に男性)は
子ども扱いされることを
ものすごく嫌がります」

『生活応援員育成講座』
(多治見市高齢福祉課・主催)
で、最も印象に残った言葉だ。

ありがたいことに
うちの父は
耳もしっかり聞こえるし
頭もボケてない。

(少し、スローな動きは
年のせい)

たいていのことは
自分でできるし
まだ、大丈夫。

と、思っていた
夏の日のこと。


父の肺がん宣告

7月21日 涙/後悔と怒り

「紹介状」をもって
父・母そして私の3人で
岐阜県立多治見病院
(以下、県病院)の
呼吸器内科へ。

担当のY先生から
「とてもよろしくない状態」
ステージ4の肺がんである
と告げられた。

(素人の私が見ても
やばいとわかるCT画像…)

肺と心臓のまわりに
水がたまっていて、
右腕だけのむくみは
リンパへの影響(転移)も
考えられる、と
彼は続けて言った。

父の首の右側から
鎖骨にかけて
しこりのようなものを
探し当てながら。


(父は2カ月に一度
市内のクリニックに
定期的に通っているのに
ステージ4になるまで
かかりつけ医は
気づかなかったのだろうか?

手のむくみ、顔のむくみ
ヒューヒューいってる息の音


ちゃんと診察室まで
ついていけばよかった)


後悔だけではなく
怒りのような
感情が湧いた。

そのあと
胸水をぬいたら
なんと1.3リットルにも
なったらしい。

涙が出た。


7月26日 検査予約/心配

再び、県病院へ。

Y先生は
ふだんこの曜日は
来ない日なので
救急外来の診察室で
詳しい説明を受けた。

先日採った血液や胸水の
検査結果もふまえ、
CTをもう一度
パッパッパっと
見直しながら

「そうそう、
お父さんのがんは
この表にある
扁平上皮がん
だと思います」と言って、
私のPC(パワポ)を
覗き込みながら
スクリーンの文字の部分を
指差した。

(肺がんの種類やタイプ
治療方法など事前に
予習しておいてよかった。
先生も、私たち家族に
説明しやすそう)

「それで、もしかすると
他の臓器……腎臓にも
転移しているかもしれません。
最近、おしっこの出はどうですか?」
と、父に聞いた。

「いつも通り」と
父は、ひとことだけ。

そのいつも通りが
どんな感じなのか、
私も、母も、わからない。

明日、造影剤を入れたMRI
来週、
気管内視鏡を使った
組織検査(要・入院)とのこと。

父83歳にして
はじめての入院。
少し、心配。


7月27日 MRI/祈り

早朝からMRIのお部屋へ。
父はこの日から
車椅子を好むようになった。

「もう歩きたくない。
車椅子は楽だな」と言って
楽なほうを選ぶ。

(たしかに
県病院の正面玄関から
MRIのお部屋までは遠いよね)

私は車椅子を
初めてひいた。
なんか重いなと思ったら
右車輪のロックが
かかったままだった。

MRIを受ける前に
看護師さんに
「貴金属類を全部外しましょう」
と言われ、
入れ歯、時計、
それからベルトね……

父が車椅子から
立ち上がった瞬間、
ストーーーンっと勢いよく
ズボンが床まで落ちた。

(えっ!?
こんなにおなか痩せちゃったの?
お父さん・・・
急激すぎない?
ついこの間まで
私と体重、60キロ前半で
競ってたのに!!)

父はいま、
あれよあれよという間に
154センチ、54キロ。

背も縮み
体重も減って
ずいぶんと小さく
なってしまった。

病衣への着替えも
ずいぶんと
手こずっている。

ふぅ、と
ため息。

神様、
どうぞ脳に
転移していませんように。


8月3日【前編】組織検査/まだですか?

いつも通り
家族3人で
朝8時に家を出て
県病院へ向かう。

道路がすいていて
予定よりもかなり早くに
到着してしまった。

入院手続きの前に
血液検査のお部屋へ。
8時半前なのに
この人だかり、
この行列!

(ヤバイ……)

と思ったけれど
車椅子に乗っている父は
意外とスムーズに案内されて
ラッキーだった♪

採血後、
中央点滴ルームへ。

気管支内視鏡検査は
10時からの予定。
まだ9時半だから
だいぶ時間的に余裕だ。

父は簡易ベッドの上で
病衣に着替え
横になり
入れ歯も早々に取ってしまった。
そうすると
モゴモゴ言って
何言ってるかよくわからない・笑

ずいぶんと待って
ようやく
静脈内に留置針を打ちに
知らないドクターが
いらっしゃった。
ほんの一瞬
「ども!」と現れて
あっという間に立ち去った。

(なに? あれ? だれ?)

それから、また
かなり待たされた。

予約時間の10時を過ぎ
10時20分になっても
お呼びがかからないから
中央点滴センターの受付に
「どうなってますか?」
と聞いてみた。

「まだ検査室から
コールがないから
9時の患者さんが
押してるのかもしれません。
もう少しお待ちください」
と、諭された。

えぇーい
待つのが大嫌いな
私たち3人。

(いったい
何時になったら
呼ばれるんじゃいっっっ!)


8月3日【中編】病室/安堵

私は仕事の都合上
いったん帰宅。
戻ったときは
母が検査室の廊下で
ひとり待っていた。

すでに気管内視鏡検査は終わり
父は入院する西病棟4階へ
ストレッチャーで運ばれていた。

「お父さん、
オエェ〜、オエェ〜って
ひどい声を出してたのよ。
外まで、聞こえてきて
こっちも吐きそうだったわ」
と、母が教えてくれた。

(わかる、私も以前
胃カメラ検査を
受けたことあるから。
あぁ、記憶が蘇ってきた・・・
ウミガメのように
涙ポロポロ出しながら
がんばったっけ・・・)

病室に付き添えるのは
ひとりだけ
という制限があり
私が行くことに。

西病棟の
エレベーターを降りてすぐ
ナースセンターの
目の前のお部屋。

「こちらです」
と案内された。

(何かあったらすぐに
対応してもらえるように、と
リクエストしておいて
よかった)

ビジネスホテルのような
シンプルできれいな
二人部屋。

間仕切りのカーテンを開けると
もうろうとした父が
鼻に酸素チューブ、
腕に点滴といった姿で
ベッドに横たわっていた。

「お父さん、わかる?」
と声をかけてみる。

鎮静剤のせいで
意識も表情もぼーっとしていた。
声は聞こえているみたい。

看護師さんが
ベッド脇にかかった
【13:25分まで、安静】
というプレートを
私に見せながら
「この時間まで、
そばにいられますか?」
と聞いた。

(えっ? この後、
母とランチする予定
なんですけど……)

「付いていないとダメですか?」

「そうしていただけると
ありがたいです」

「そうですか、
わかりました」

看護師さんと
短いやり取りをした後
ロビーで待っている母に
ランチはキャンセルの旨
電話で伝えた。

看護師さんは
ホッとしたみたい。
また来ます、と言って
去り際に
「痰が出たら
ちょっと見てもらって
もし血が混じってたら
教えてください。
あと、それ以外にも
何かあったら、これで」
と、
オレンジ色のボタンが付いた
グリップ式のナースコールを
父の左手付近に
わかるように置いてくれた。

(なんか、不思議な気分。
ドラマみたい)

冷蔵庫に
ペットボトルの水を3本入れ
1本はすぐ飲めるように
付属テーブルにセット。
テレビをつけて
チャンネルを回してみても
ぜんぜん面白くない。
映画やドラマ、アニメの
ラインナップも
これといって
観たいものがなく
スイッチOFF。

環境を整えている間に
何度か、父が咳をして
苦しそうだったので
背中をさすったり
声をかけたり
ペパーミントの
エッセンシャルオイルを
首や胸に塗布してあげたり
レイキで
場のエネルギーを整えたり

(付き添いの役目を
しっかりとこなす)

そのうち
父はゴォ〜ぉゴォ〜ぉという
怪獣のような
イビキをかきながら
深い眠りの世界へ
落ちていった。


8月3日【後編】入院/薬のせい?

午後1時20分
安静時間が終わる5分前に
父が突然
「トイレ!」
と言って、起きあがろうとした。

(ちょ、ちょ、
ちょっと、待って。
まだ安静時間内だし、、、)

私はあわてて、
ナースコールのボタンを押す。

「どうされました?」

「父がトイレに行きたいと。
もう動いても、いいですか?」

「あと、5分だから
我慢できるかな?」と、
看護師さん。

うん、とうなずく父。

(本当に大丈夫かな???)

その間、
看護師さんが
手際よく
血圧を測り、
自分で水を飲みこめるか?
チェックしてくれた。

異常なし。

「お父さん、トイレ
我慢できる?」

と聞くと

「もう、引っ込んだ」

と、曖昧な返事。

(どうやら気が紛れ
トイレに行きたい気持ちが
どこかへ行ってしまったらしい)

妙に
長く感じる5分。
トイレに行く準備も
大変だった。

父の体に繋がっている
コードやら何やらが
うっとうしいようで
うまく体を動かせない。

苦戦。

血中酸素濃度モニタを
左指に付け替えてもらい
測定器を巾着袋に入れ
首からぶらんと下げる。

(娘の私から見ても
ちょっと滑稽な格好となり
苦笑い。
本人は納得いかない様子。
でも、仕方ない!)

よーっし、
準備完了!
ベッドに腰掛け
点滴スタンドにつかまる所まで
ようやく辿り着いた。

スリッパを履いて
いざ、立ち上がってみると
フラフラ〜っと
父が
揺れた。

(おっとっと)

まともに歩ける状態じゃない。

看護師さんに
体を支えてもらいながら
お部屋を出て
すぐ右手にある
広い個室トイレに
入っていった。

これまで
入院経験のない父は
かなり
戸惑ったに違いない。

立ったまま
オシッコしようとする父を
「座りましょうか」
とやさしく促してくれる
看護師さん。

(男たるもの便座に座って
ションベンなんて
できん!!!
父の声が聞こえてきそう)

まいった、まいった。


8月4日 退院/呼び出し

朝10時に
ピックアップ予定だったのに
父から
「9時にこっちへ来てくれ」と
電話がきた。

(嫌な予感・・・)

病室に顔を出すと
父はすっかり身支度を整え
窓の外を眺めながら
ベッドに座っていた。

「気分はどう?」

父の顔をのぞくと
ものすごく不機嫌そう。

(何かあったのだろうか?)

「イライラしてるね」
と話しかけ
ペパーミントオイルで
ハンドマッサージをしてあげた。

腕をある角度で上げているのが
つらいみたい。
(リンパ転移のせいかな?)
相変わらず、右腕のほうが
むくんでいる。

「腕置きがあると楽だな」と
フィードバックをくれ
私の手を握り返しながら
「ありがとう、だいぶ落ち着いた」
と言ってくれた。


8月9日 PET / CT検査

いつも通り
朝ごはんを食べ
高血圧症を改善する薬を
飲んだあとは
午後2時からのPET / CT検査まで
水またはお茶のみ、
と指示が出ている。

MRI検査のときのように
着替えに時間がかからないように
今日は
しじら織りの甚平を着てもらった。
本当はそれに
雪駄(せった)を履くと
かっこいいのだけれど
あいにく、持ってないから
靴下に運動靴という
微妙なコーディネートに
なってしまった。

これまた、
父が不機嫌になってしまう。

「車で送り迎えするし
病院に着いたら
すぐに車椅子に乗って
検査室へ直行するし
誰にも会わないから
ちょっと変でも大丈夫!」

いろんな理由を述べて
何とか納得してもらい
スムーズに検査できる状態で
連れていった。

今日の
PET / CT検査のお部屋は
地下にある。

PET / CT検査は
体内のブドウ糖の代謝を
調べる検査。

* がんや炎症の有無
* 性質や大きさ
* 場所の特定
* 周りの臓器・組織への影響
などがわかる。

およその流れは次のとおり。

  • 投薬(静脈注射)
  • 安静(約1時間)
  • 撮影(約20〜30分)CTのような機械
  • 待機(画面確認)※

※ 撮影後、
放射能が減衰するのを待って
検査を終了。

今日着ていった甚兵のおかげで
病衣に着替えず
そのままイケたものだから
父は上機嫌♪♪♪

「でしょ、でしょ、
でっしょ〜^^
だから言ったじゃん。
夏、病院に行く時は
甚兵、一択だってば‼️」

(あぁ〜よかった。
気に入ってくれて。
これから楽チン♪)

「お父さん、
それ、とってもよく
似合ってるよ♡」

帰りの車の中で
ほめまくった。

「今日のPET検査、
3万円くらいって
聞いてたけれど
1万ちょっとだったから
雪駄のカッコいいやつ
買ってあげる♡」

(ひと月の外来+入院
高額医療の限度額
57,600円を超えたから
安くなったのかな?
よくわからない)

「ちょっと、やめてよー。
他にも色々かかるんだから」
ったくもぅ、と
後部座席から笑顔のヤジ。

母も少し元気になった。

8月15日 脳や骨への転移なし!/少しだけ安堵

気象庁によると
台風7号は15日明け方に
和歌山県潮岬付近に
上陸したあと
北上して海上へ抜け、
午後1時ごろ兵庫県明石市付近に
再び上陸した。

・・・・・・


お盆休み中のため
組織検査の結果
(PD-L1 ※の発現率が
どのくらいか?)
など、
まだ出揃っていない
とのこと。

MRI検査結果
◎ 年相応の萎縮はあるものの
脳への転移はなし!
(よかった、
これが一番心配だった)

PET / CT検査
◎ 右肺の原発巣
(最初に発生した病変)
大きく光っている

◎ それ以外に
光っている箇所は、
・右鎖骨あたりリンパ
・左鎖骨下リンパ
(コリコリとした
新たなしこりの存在を知る)
・左脇の下
・右目の横、頬骨の上あたり
 >> 皮下転移が見られる

「左の肺にも
光がありますね」

父の全身骨格が
映し出され
ところどころ
赤や黄色に
光っている。

(うわ、キレイ)

不謹慎にも
声が出そうになった。

初めて見る
父のPET映像の姿は
ステージ4を裏付ける
非情なものなのに
なぜか
美しい印象として
心に映った。




「ステージ4
非小細胞肺がん、
たばこが原因の
《扁平上皮がん》
です。
ここまでになってしまうと
手術はもちろん
放射線治療もできません」



Y先生がいわんとするところは
薬物療法
すなわち
・《抗がん化学療法》
・《免疫療法》

あとは
《自然にまかせる》
という選択肢もある、
そんな感じだろうか?

1週間に1キロペースで
体重が減っている。

食欲が減退しているのと
がんによる消耗が
はげしい。

緩和ケアのコンサル予定を伝え
その枠の後に
次回予約を入れてもらい
診察室を後にした。

・・・・・・

静岡の安倍川で
発生した竜巻の様子が
待合のテレビに
映っている。

高さが数百メートルあろうか
灰色の空に
不穏なうねりが
水しぶきを伴いながら
動いているのが見えた。

>おうちで出来る「セルフケア」

おうちで出来る「セルフケア」

年齢や性別を問わず誰でもマスターでき、自分と家族、大切な方々へのケアを日常的に実践できる方法をお伝えします!
一人ひとりが自分の力で「健康に、幸せに、豊かになる」お手伝いをさせていただいております。